私意素撒

続くかなぁ・・・

【ネタバレ】氷菓

いざ始めてみると意外と書くことないので、昔見たアニメの感想を書いていくことにします。

 

自分はどちらかと言えば原作派なのですが、アニメの方も流石の京アニクオリティでした。動きの少ない日常系でこうも豊かなアニメーションを演出できるものなのかと。特にお気に入りのシーンを列挙していこうと思います。

 

1つ目。原作ではそれほどだったのにアニメで見て感動した、愚者のエンドロール編の、入須先輩に対する奉太郎の激昂シーン。原作だと七つの大罪の話は、「愚者のエンドロール」の後の「遠まわりする雛」に収録されているのですが、アニメでは時系列順に整理されているため、奉太郎が怒るかどうかという話の後に、実際に奉太郎の怒りが見えて、なんだか味わい深いです。古典部の面々に対する内心での悪態とは違う、明らかな怒り。氷菓編からは想像もつかなかった奉太郎の一面です。

 

2つ目。シーンというよりもっと広いものですが、クドリャフカの順番編の、伊原、里志、河内先輩、田名辺委員長の表情演出。自分はクドリャフカの順番編のテーマの一つが、「才能とそれに対する周囲の想い」なんだじゃないかと思っています。奉太郎の自分にはもちろん、大凡の人間が持つことのない能力に対する里志の期待。安心院の描く「夕べには骸に」に対する伊原と河内先輩の葛藤。充分な能力を持っていながら、穿った見方をする河内先輩に対する伊原の怒り。及ばない才能に抗おうとする伊原に対する河内先輩の羨望。圧倒的な才能を持ちながらそれを活かそうとしない陸山に対する田名辺の失望。それぞれの想いがその表情から垣間見えていて、登場人物たちの複雑な感情を見事に表現しきったと思います。

 

3つ目。最終話のシーン。終わり良ければ全てよしと言いますが、逆に言うと締めがしっかりしていない作品は微妙な評価になりがちです。しかし、本作は締めまできっちり魅せてくれていて、しかも原作を読んで自分が思い描いた通りのシーンで、とても満足しました。上の2つもそうですが、本当に表情が上手く描がれる作品です。このシーンは見てみないことには分からないと思います。というか自分では表現することができませんw

 

以上が自分のお気に入りのシーンでした。

全体的に非常に満足いくアニメで、昔というほど昔でもない少し前の古臭さというか、趣深さを感じます。しかしよく古典部シリーズをアニメ化しようと考えたなとw 話題になっていた作品というわけでも、アニメ化しやすいというわけでも、若者を引き付けやすいライトノベル出身というわけでもない。アニメ化しようと思い至ったスタッフの方は本当に凄いと思います。これからも、人気のあるライトノベルだけではなく、こういった作品がどんどんアニメ化されていくことを、強く願います。